【地元のごちそう 自然のめぐみキッチン】「廿日市市ならではの食卓」が描く未来

2025.02.04

廿日市市阿品台にある「地元のごちそう 自然のめぐみキッチン」。オーナーの小林さんが運営するこのお店は、地域住民に愛されるだけでなく、食品ロス削減や子どもたちの居場所づくりにも力を注いでいます。今回は、その温かな取り組みを詳しくご紹介します。

地域がつながる「みんなの食堂」

「みんなの食堂」は、毎月めぐみキッチンで開かれる多世代交流の場。開催日は放課後になると小学生たちが自然と集まり、みんなで夕飯の準備をしたり、外遊びや工作を楽しんだりします。誰かに強制されることなく、子どもたちの自主性を大切にしながら安心して過ごせる空間が広がっています。

料理を作る過程を通じて子どもたちは自主性を育み、自宅でもお手伝いをするようになる子も多いそうです。お母さんたちの「助かる」という声が、活動を続ける力になっています。

(みんなの食堂開催日はめぐみキッチンのInstagramにて確認できます)

始まりは小林さんの想いから

集まる子どもたちのために用意されたお弁当

「世代を超えて地域でつながる場所を作りたい」「忙しいお母さんたちを少しでも助けたい」。そんな想いを胸に、小林さんは活動をスタート。「みんなの食堂」という名前には、誰もが気軽に足を運べる場所にしたいという想いが込められています。
みんなでメニューを決めて夕食を手作りすることもあれば、用意されたお弁当を楽しむことも。仕事や家事で忙しいお母さんたちも、この日だけは子どもと一緒にゆっくり食事を楽しむ時間が持てます。気軽に立ち寄れる雰囲気を大切にし、子どもから高齢者まで、誰もが笑顔で迎えられる場所を目指しています。

ロス食材が織りなす優しいごちそう

企業から提供されるのは、販売基準を満たさないがおいしく食べられる食材

「みんなの食堂」では、地元企業や団体から提供されたロス食材が活躍します。小林さんが地道に活動の重要性を伝え続けた結果、協力企業が徐々に増えました。現在では、社会福祉協議会が「食品ロスが出た企業やお店」と「支援を必要とする団体」とを結びつけ、地域全体で食品ロス削減に取り組むネットワークが広がっています。

例えば、側面が潰れて販売できないトマト缶などのロス食材は、十分に美味しく安全に食べられるものばかりです。また、「庭の柿がたくさん実ったけど食べきれない」という声を受け、直接お宅へ伺い収穫したこともあるそう。こうした取り組みが食材の循環とロス削減につながっています。

ロス食材を活用したお弁当は、優しい味付けで栄養もたっぷりです。

魚のロスをゼロに!「廿日市がんす」の誕生

魚のあらや形が不揃いな野菜も彩り豊かな料理に変身します。「魚離れが進む子どもたちにも魚を食べてもらいたい」という想いから、市内で採れた食材を丸ごと使った「廿日市がんす」が生まれました。

捨てられてしまいがちな「魚のあら」や「野菜の切れ端」も、丁寧に下処理を施してがんすに生まれ変わります。この工夫が新たな美味しさを生み出し、子どもたちにも大人気。魚は内臓と鱗以外を無駄なく使い切る徹底ぶりで、結果として食品ロス削減にも大きく寄与しています。

また、店頭では調理済みの魚のあらを無料配布しています。
出汁や離乳食に活用したりと、地元のお母さんたちにも喜ばれているそう。

地元ならではの食卓を通し、地域の未来へ

食や体験を通じて、家庭の中でも「食を大切にする姿勢」や「無駄を減らす工夫」が少しずつ広がっていくこと。それは、日々の生活の中で誰もができる小さな一歩となり、やがて地域全体を明るく温かな場所へと変えていくきっかけになるはずです。
「地元のごちそう 自然のめぐみキッチン」は、地元の食材をふんだんに使った豊かな食卓を通して、地域の未来をより良いものにしていくことを目指しています。

取材日:2025年1月15日


新鮮野菜や地物魚を使った多彩なメニュー【地元のごちそう 自然のめぐみキッチン】

廿日市市阿品台にある地元のごちそう自然のめぐみキッチンは、その名のとおり地元で採れた魚介や、農薬不使用で作る自家製野菜を使った料理を提供している。 オーナーをはじめ、スタッフは全員小さな子どもを持つママたち。「子どもたちに旬を感じてほしい。」との思いから、その日に採れた新鮮な食材で飽きの来ないバリエーションに富んだメニューを作っている。