【錦水館】生産者と歩む、地域に根ざしたおもてなし

2025.02.26

宮島の厳島神社にほど近い「錦水館」は、瀬戸内海の絶景を望む老舗旅館として多くの観光客に親しまれている。地元で獲れた新鮮な魚介や農産物をふんだんに使い、訪れる人々に“本物の味”を届けることを大切にしている。

宮島の海の恵みをそのままに

錦水館では、宮島の漁師から直接仕入れた魚を使用している。20年以上の付き合いがあり、季節ごとに異なる鮮魚を提供できることが強みだ。アコウ、カレイ、オコゼ、タイなど、瀬戸内海の豊かな恵みを存分に活かした料理を楽しめる。

「宮島で獲れた魚はお客様に好評で、『美味しかった』との声が多く寄せられます。その感想を伝えると、漁師さんも『獲った甲斐があるよ』と喜んでくださいます」と語る中村料理長。こうしたやりとりが、漁師の励みとなり、地域の漁業の活性化にもつながっている。

宮島で獲れたアコウのお造り

すだち醤油や自家製の刺身醤油で味わうことで、魚本来のあっさりとした旨味が際立つ。

安心と美味しさを追求した厳選食材

魚介だけでなく、野菜も可能な限り地域産のものを使用している。特に有機農法で育てられたものを優先的に使用し、安全で美味しい食事を提供することを徹底している。

廿日市市吉和産あわび茸と穴子の味鍋

湯通しすることでコリコリとしたアワビのような食感が楽しめるあわび茸は、廿日市市吉和の「きのこ屋本舗」から仕入れている。他きのこには無い肉厚な食感、噛むほどに広がる旨味は、主役の穴子にも引けを取らない。

安心・安全な食事を提供し、くつろぎと健康を届ける

お話を伺った志熊総支配人と中村料理長

「錦水館の方針の根底には地域貢献があります。地産地消を通じて、地元の生産者とともに成長し支え合える関係であることが理想」と志熊総支配人は語る。お客様に安全で美味しい食事を提供するために、20年近く前から県内の農家を一軒ずつ訪ね、栽培や飼育の方法を確認しながら直接取引を続けてきた。こうした積み重ねによって、生産者との信頼関係を築き、地域との結びつきを深めている。

また、コロナ禍での休業期間中には、生産者の厚意で一部従業員が農園で働く機会を得た。食材の生産現場を学び、実際に作業を経験することで理解が深まり、生産者への感謝の気持ちも一層大きくなったという。錦水館は将来的に地産地消率を80%にまで引き上げることを目標に掲げ、より多くの地域食材を取り入れていく方針だ。

「地元のよい食材を活かし、地域に貢献することで生産者の発展を支え、従業員が働きがいを持てる環境をつくる。それが最高のおもてなしにつながる」と志熊総支配人は語る。
錦水館は、地産地消という形で地域に根ざし、これからも生産者とお客様を結ぶ橋渡し役を担い続ける。廿日市・宮島の魅力が詰まった一皿が、今日も多くの人々の笑顔を生み出している。

店名錦水館
所在地広島県廿日市市宮島町1133
アクセス宮島フェリーターミナルから徒歩約10分
電話番号0829-44-2131
営業時間受付9:00~18:00
定休日年中無休
ホームページhttps://kinsuikan.jp/
備考会席料理は宿泊の方のみ